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タフィラレットとは、モロッコ南部、サハラ砂漠近くの地方を指す言葉。 モロッコの中でも伝統的な生き方が現代まで残っているこの地方で織られていたタフィラレット・ラグは、美しい赤紫色が特徴です。

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現代のモロッコの女性たちは、ジュラバという民族衣装や洋服を身に付けることが多いのですが、この地方では、厳しい日差しから身を守るため、また伝統的な価値観が残っているため、今でも真っ黒な大きな布を全身に覆っている女性を良く見かけます。

タフィラレット地方のラグは、昔、この地方のベドウィンの人々によって使われていたものです。

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このラグは、おそらく50年以上昔のものだと思われますが、美しい文様、色使いを見ると、当時の女性がどんな思いでラグを織り上げたのか、想像せずにいられません。

砂漠のオアシスの村で暮らしていた女性。
暮らしのなかで目に入る色は、オアシスのグリーンと砂の色。
緑、茶色、砂色、黒やグレー。華やかな色はありません。
娯楽もほとんどない、淡々とした暮らし。
10代で結婚し、子供をたくさん産み、何もかも一から手作りの食事の支度をし、余った時間にはウールを紡ぎ、染め、ラグを織る毎日。
身につけていたのは黒衣。黒衣の下に着るものも、一家の男性が市場で買ってきた生地で仕立てたものだったはず。
もちろん、ささやかな幸せはたくさんあったと思いますが、当時の女性は多くを望んだり、個性を表現したりしないものとされていました。

暮らしの中に美しいもの、華やかなものが欲しかったら、自分で作り出すしかありません。
当時の女性の、美に対する強い情熱や憧れが凝縮され、織り上げられたものが、タフィラレットのラグなのかもしれないなあと思います。

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それとも、こんな美しい夕焼けを毎日見ていたら、自然に美しいラグが織れるものなのでしょうか。
この地方の暮らしは、この100年でずいぶん代わり、今では遊牧生活をおくるひとは数少なくなりました。
ウールを手で紡ぎ、染め、家族が使うために織るというライフスタイルも廃れたため、タフィラレットの新しいラグが織られることもありません。

今のモロッコ女性が、ラグを織ったとしても、暮らしの中に色が溢れ、美しく装う自由を得た女性が織るラグは、ここまで美しく仕上がらないのではないか・・・と思います。

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